PCのグラフィックボードを交換したら映像が出ない！ファンは回るのに画面が真っ暗な時のチェックリスト

新しいグラフィックボード（以下、グラボ）に交換したのに、パソコンの電源を入れても画面が真っ暗のまま…。「ファンは元気に回っているのに、なぜか映像だけが出ない！」という状況で困っていませんか？

この記事では、そんなときに確認すべきポイントを、PC初心者の方にも分かりやすくチェックリスト形式で解説します。一つずつ落ち着いて確認していけば、きっと解決策が見つかるはずです。

多くの場合、原因は「ケーブルの接続ミス」か「電力供給の不足」の可能性が高いです。まずは基本的なところから見直していきましょう。

意外と見落としがちなのが、モニターケーブルの接続先です。

原因の解説
新しいグラボを増設したにもかかわらず、以前と同じようにマザーボード側（PCの上部にある端子）にケーブルを接続しているケースです。新しいグラボを取り付けると、基本的にマザーボード側の映像出力端子は無効になり、映像が出力されなくなります。
具体的な解決手順
1. パソコンの背面を確認してください。
2. モニターにつながっているケーブル（HDMIやDisplayPortなど）を、マザーボード側の端子から抜きます。
3. 新しく取り付けたグラフィックボードの映像出力端子に、ケーブルをしっかりと接続し直します。

高性能なグラボほど、多くの電力を必要とします。

原因の解説
最近の高性能なグラボの多くは、マザーボードのスロットから供給される電力（最大75W）だけでは足りず、電源ユニットから直接電力を供給するための「補助電源コネクタ」が必要です。このケーブルが接続されていない、またはしっかり挿さっていないと、ファンは回っても映像を出力するための十分な電力が得られません。
具体的な解決手順
1. 必ずパソコンの電源を完全に落とし、電源ケーブルをコンセントから抜いてから、PCケースの側面パネルを開けます。
2. 新しいグラボの側面や上面にある、6ピンまたは8ピン（6+2ピンの場合もあります）のコネクタを探します。
3. 電源ユニットから伸びている「PCI-E」や「VGA」と書かれたケーブルを、そのコネクタに「カチッ」と音がするまでしっかりと差し込みます。

グラボ本体の取り付けが甘いと、接触不良で認識されません。

原因の解説
グラボがマザーボードのPCI Expressスロットに奥までしっかり挿さっていない、いわゆる「半挿し」の状態になっていると、正しく認識されません。重さがあるパーツなので、気づかないうちに少し浮いてしまっていることもあります。
具体的な解決手順
1. PCの電源が落ちていることを確認し、補助電源ケーブルなどを一旦外します。
2. グラボをPCケースに固定しているネジを少し緩めます。
3. グラボの上部を両手で持ち、マザーボードのスロットに対して垂直に、均等な力で押し込みます。
4. スロットの端にあるロック用のツメが「カチッ」と上がり、ボードが固定されたことを確認します。
5. 最後にネジを締め直し、外したケーブルを元に戻します。

上記の基本的なチェック項目を試しても状況が改善しない場合は、以下の少し発展的な対策を試してみてください。

CMOSクリア（BIOS設定の初期化）
パーツの構成が大きく変わったことで、マザーボードの設定情報（BIOS/UEFI）が混乱している可能性があります。CMOSクリアを行い設定を工場出荷時の状態に戻すことで、新しいグラボを正しく認識し直すことがあります。やり方は、マザーボード上のボタン電池を数分間外す方法が一般的ですが、詳細はマザーボードの取扱説明書で確認してください。
古いグラフィックドライバの完全削除
交換前のグラボのドライバがパソコン内に残っていると、新しいグラボと競合して不具合を起こすことがあります。一度元のグラボに戻すか、CPUに内蔵グラフィックス機能があればそちらで起動し、「Display Driver Uninstaller (DDU)」などの専用ツールを使って古いドライバを完全に削除してから、再度新しいグラボを取り付けてみましょう。
メモリの挿し直し
グラボ交換の作業中に、無意識にメモリモジュールに体が触れてしまい、接触不良を起こしているケースも稀にあります。一度全てのメモリモジュールをスロットから抜き、再度しっかりと挿し直してみることで改善する場合があります。

最後に、今回のチェックポイントを要約します。

焦らず一つずつ原因を探っていくことが、解決への一番の近道です。この記事が、あなたのPCトラブル解決の助けとなれば幸いです。無事に新しいグラフィックボードで、快適なPCライフが送れることを願っています！